近年、スポーツビジネスの領域で注目されているのがeスポーツだ。eスポーツは、ここ数年で爆発的な人気を獲得し、2023年には市場規模が14億ドルを突破した。この成長は、伝統的なスポーツビジネスに新たな視点を提供している。例えば、各国で行われる大会では数万人の観客が集まり、オンライン視聴者数も数百万人に達することも珍しくない。このような観客動員力は、スポンサー企業に対する大きな魅力となっている。
実際にeスポーツのスポンサーシップは急速に拡大し、2023年時点で約8億ドルもの収益をもたらしている。この流れを受けて、ナイキやアディダスといったスポーツアパレル企業も続々とeスポーツチームやイベントへ投資を始めている。ナイキは中国のプロeスポーツリーグ「LPL」とパートナーシップを締結し、公式ウェアの提供を行うなど、そのブランド戦略を積極的に展開している。eスポーツファン層は、他のスポーツファンに比べて若年層が多く、彼らをターゲットにした商品展開は企業に新たな顧客層をもたらしていると言っても過言ではない。
また、eスポーツ選手の年収も急速に上昇している。トップ選手となると、年収は数百万ドルを超える場合もあり、多くの若者がeスポーツ選手を目指している。この状況はアスリートの多様性を広げ、スポーツの定義を再考させる契機となっている。たとえば、2019年の「フォートナイト」ワールドカップで優勝した16歳のカイル・ギアスドルフ選手（通称ブガ）は、300万ドルの賞金を手にした。彼の成功はeスポーツがもたらす可能性を示しているといえる。
伝統的なスポーツも無視できない変革をもたらしている。例えば、サッカークラブはデジタルプラットフォームを活用し、ファンエンゲージメントを高めている。FCバルセロナは、「FCバルサTV+」というストリーミングサービスで、ファンに向けたコンテンツ提供を行っている。このサービスは月額料金を設定し、クラブに安定した収益源を提供している。サブスクリプションモデルの採用は、ファンとの絆を深めると共に、従来のテレビ放送依存からの脱却を図る一手段とされている。
それに関連して、NFT（非代替性トークン）の導入も新しい動きとして注目されている。NBAの「トップショット」は、選手のハイライトをNFTとして販売し、2021年に2億ドルを超える売上を記録した。この方法は、ファンがより直接的に好きな選手や瞬間を所有する喜びを味わうことができ、経済的にも新たな価値創造を図っている。クリプトアートの台頭とともに、スポーツ業界も新たな収益モデルとしてこれを積極的に取り込んでいる。
さらに、スポーツ施設の近代化も進んでいる。特に環境に配慮したスタジアムの建設が増えている。たとえば、イングランドの「トッテナム・ホットスパースタジアム」は、エネルギー効率を高めるためにLED照明を全面採用し、年間で1,800トンの二酸化炭素排出削減を目指している。このような持続可能性への配慮は、社会的責任を果たそうとする企業理念の現れであり、長期的にはコスト削減にもつながる。
最近のスポーツ業界は、技術革新やデジタル化の波に飲み込まれつつも、スポーツニュースに見るように、更なる成長を遂げている。特に、デジタル技術を駆使した新たなサービスや製品の開発は、従来のスポーツ産業におけるビジネスモデルを刷新し、多くの企業にとっては新たなチャンスとなっている。技術の進化に伴って、スポーツビジネスはより多様化し、グローバル展開をする企業にとって魅力的な市場であり続けるだろう。